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田辺・菅野ダイヤグラム3

$\ao{d}^6$ 電子配置

$\ao{d}^6$ 電子配置の田辺・菅野ダイヤグラムを確認します。

田辺・菅野ダイヤグラムd6

$\ao{d}^6$ 電子配置の田辺・菅野ダイヤグラム

低スピン(図の右側)は基底状態が一重項で,励起一重項も複数ありますのでなかなか複雑ですが,一方で高スピン側は基底状態と同じスピン多重度をもつ励起状態は一つしかありません。これは考えてみると当たり前で,最初の五つの電子がスピンを揃えて五つの軌道に収まり,半閉殻となりますので,スピン多重度が基底状態から変化しない励起状態に関しては,残った最後の電子が事実上 $\ao{d}^1$ として振る舞うわけです。ここで $\ao{d}^6$ HS と聞いて「あぁ,あれか」と気付いた方は大変鋭いです。前に $\ce{[Co^{III}F6]^{3-}}$ の吸収スペクトルを紹介しました。再掲します。

[Co(III)F6]3-の吸収スペクトル

$\ce{[Co^{III}F6]^{3-}}$ の吸収スペクトル

$\ce{Co^{III}}$ は通常 LS をとるのですが,$\ce{[Co^{III}F6]^{3-}}$ は例外的に HS となります。田辺・菅野ダイヤグラムからは ${^5\irrep{E}{g}}\leftarrow {^5\irrep{T}{2g}}$ 遷移のみが観測されるはずですが,吸収スペクトルは二つのピークに分裂しています。これはヤーン・テラー効果によるもので,田辺・菅野ダイヤグラムは構造を固定して考えているため,ヤーン・テラー効果による分裂は(直接は)ダイヤグラムから読み取ることができないというのは前に説明した通りです。

$\ao{d}^7$ 電子配置

$\ao{d}^7$ 電子配置の田辺・菅野ダイヤグラムを確認します。上でも説明しましたが,$\ao{d}^7$ HS は,スピン多重度が基底状態と同じ励起状態を考える限りにおいて,$\ao{d}^2$ 電子配置のダイヤグラムとよく似た形状となります。原子項は $\ao{d}^n\ (n < 5)$ と $\ao{d}^{10-n}$ が電子とホールの相補的関係になりますが,結晶場分裂後の分光学的挙動は,半閉殻分を除いた,実際に光吸収に関わる電子の配置を比較すると似たもの同士が見えてきます[1]

田辺・菅野ダイヤグラムd7

$\ao{d}^7$ 電子配置の田辺・菅野ダイヤグラム

最終更新日 2022/07/15