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錯体の構造

錯体は,対称性の高い幾何学的な構造を基本形としており,特殊な構造であっても,この基本形からの派生として考えた方が理解しやすい場合が多いです。

配位数に応じた錯体の基本形

金属への配位数に応じて,以下のような基本形があります。錯体全体の構造ではなく,金属イオンまわりの配位に着目した構造であることに注意が必要です[1]

  • 一配位
    $\ce{AgSCN}$ は銀イオンに対する一配位構造であることが $\ce{(NH4)Ag(SCN)2}$ の結晶構造解析から明らかとなっています。$\ce{2,4,6-Ph3C6H2Cu}$ は配位子が立体的にかさ高いため,銅イオンに対する一配位構造をとります。
  • 二配位
    $\ce{[AgCl2]-}$ などの例にみられる配位形式です。シアン化銅 $\ce{CuCN}$ は一配位ではなく,実際には $\mathrm{-Cu-CN-Cu-CN-}$ の繰り返し構造を有しているため,銅イオンの配位数は 2 となります。
  • 三配位
    平面三角形(trigonal plane, TP-3)や三角錐(trigonal pyramid, TPY-3)などがあります。$\ce{[Pt(P(cy)3)3]}$($\ce{cy} =$ cyclohexyl)のように,大きな配位子を有する錯体では,配位子どうしの立体反発から,三配位構造をとることがよくあります。
  • 四配位
    平面四角形(square plane, SP-4)や四面体(tetrahedron, T-4)などがあります。SP-4は $\ao{d}^8$ 錯体に多く見られ,$\ce{[Ni(CN)4]^{2-}}$,$\ce{[PdCl4]^{2-}}$,$\ce{[Pt(NH3)4]^{2+}}$,$\ce{[AuCl4]-}$ などの例があります。T-4 は金属イオンのサイズが小さく,配位子のサイズが大きい組合せに多く見られる構造で,$\ce{[CrO4]^{2-}} $,$\ce{[MnO4]^-}$,$\ce{[FeCl4]^{2-}}$,$\ce{[CoCl4]^{2-}}$,$\ce{[CuBr4]^{2-}}$ などの例があります。
  • 五配位
    四角錐(square pyramid, SPY-5)や三方両錐(trigonal bipyramid, TBPY-5)などがあります。
  • 六配位
    八面体(octahedron, OC-6)や三角柱(trigonal prism, TPR-6)などがあります。