1. 化学熱力学
  2. 高校理科での取り扱い

高校理科での取り扱い

高等学校の理科では,主に化学と物理で熱について学びます。このうち,化学では主に,状態変化や化学反応など,物質と熱の関わりに焦点を当てたカリキュラムとなっており,一方,物理は熱の本質や性質そのものに,よりフォーカスした学習をします。理想気体の状態方程式のように,化学と物理で重複する事項もあります。すごいなと思うのは,物理が基礎をなしていて,その上に化学で扱う事項があるはずなのですが,高校の化学ではそれを感じさせないように,巧みにカリキュラムが組まれており,高校化学で必要な熱に関する基本知識は,高校化学の中ですべて与えられており,物理の履修を前提としていないことです。つまり,物理を習わなくても,高校化学は理解できるように教科書は作られています。

しかし,物質と熱との関係をもう少し掘り下げて学習しようとすると,やはり基礎となる物理が不可欠です。つまり,物質の理解という大きな目標の基礎として化学熱力学があり,その化学熱力学は熱力学を土台としているので,基礎的な熱力学の考え方はぜひとも学んでおきたいということです。受験という立場で見ると,工学部系などは物理と化学が必須のところが多いのですが,理学系や医療系では受験科目として化学と生物を選択する方もおり,そうすると物理の知識が十分に定着していない,あるいはそもそも学んだことがないということも起こり得ます。

そこで,ここでは手始めとして,高校理科での熱についての取り扱いについて,特に物理で習う事項を中心に簡潔にまとめます。物理(の受験問題)が苦手という方のために付け加えますと,私たちがここで必要としているのは,基本的な考え方を知ることであって,応用的な入試問題を解くことではありませんので,苦手意識はわきにおいて,新鮮な気持ちで学習していただくと良いと思います。

最終更新日 2023/02/26