アボガドロ数とモル

モル(mol)は化学でよく使われる単位ですが,苦手意識を持つ人も多いようです。鉛筆12本をまとめて1ダースといいますが,モルも同じで,およそ6.02\times 10^{23}個の原子や分子をまとめて1モルと呼んでいます。

モルは単位ですが,その基準となる6.02\times 10^{23}という数字はアボガドロ数といいます。古くから使われているモルですが,実は2019年の5月20日にモルの定義が変わりました。

2019/5/20より前のモルの定義では,0.012 kgの炭素12に含まれる原子の数をアボガドロ数として,アボガドロ数個の原子や分子をまとめて1モルとしていました。しかし,この定義には問題があって,例えば0.012 kgのキログラムはどうやって定義されるのかとか,それが定義できたとして,0.012 kgの炭素12に含まれる原子の数をどうやって正確に数え上げるのかとか,考えるとなかなかややこしい問題がありました。

そこで,定義を見直して,これらの問題を解決することにしました。新しい定義では「1モルは正確に6.02214076\times 10^{23}個の構成粒子を含む」とされました。「12個をまとめて1ダースとする」というのと同じレベルの明瞭さです。定義なので,6\times 10^{23}個などと別の数字にしても良いのですが,そうするとこれまでの1モルと新しい1モルが大きく違った量になってしまって混乱するので,これまで使ってきたモルとできるだけ違いが出ないようにこの数字が決められています。

定義が新しくなったことで,モルとキログラムは切り離され,曖昧さがなくなりました。しかし,注意しなくてはいけない点もあります。古い定義では,1モルの炭素12は正確に0.012 kgでしたが(定義なので当たり前),新定義では0.01199999… kgとわずかに異なることになります。

この違いが重要となるような仕事をしている人は限られた専門家だけだと思いますが,教科書や参考書の記述はまだ完全には新しい定義に置き換わっていませんので,勉強する際は注意が必要です。

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