地球温暖化とCOVID-19

地球の温度は,人類がかつて経験したことがないくらい高くなっていて,これを地球温暖化といいます。地球が暖かくなると,少なくとも,私たち人類にとって困ることがたくさんあって,例えば,北極やグリーンランドの氷が溶けて,海水面が上昇することで,いままで陸地だったところが海に沈むとか,動植物の生息環境が変わって,これまで暖かいエリアに多く見られた病気が,他の地域でも蔓延する可能性が高くなるとか,気候変動で巨大台風の被害が増えるといったことが心配されています。そして,残念ながら地球温暖化の流れはとどまるところか,むしろ加速されているというのが現実です。

地球はとても複雑なシステムですので,地球温暖化の原因を解明することは簡単ではありません。地球は太陽光のエネルギーを受けて温まりますが,同時に宇宙に放熱します。受け入れた熱エネルギーと放出した熱エネルギーが等しければ,地球の温度はさほど変化しないはずです。しかし実際は,太陽活動は変動していますし,火山など,地球自体も活動していますので,長い歴史のなかで,地球の温度は,人類の存在とは無関係に常に変動しています。

今,人類が経験している地球温暖化も,その自然な変動の一環に過ぎないという見方から,人類の活動が大きく影響しているという見方まで,幅広い主張があります。科学的な最終的な答えは出ていないので,どちらの主張に対しても完全肯定も完全否定もできないのですが,人類の経済活動が地球環境と無関係ではないことは,過去の公害や環境問題を見ても明らかであり,地球温暖化についても,人類の活動が無関係ではないとする見方は一定の支持を得ていると思います。

地球温暖化の原因のひとつとして考えられているのが二酸化炭素濃度の増加です。発電し,工場を操業し,車を走らせ,飛行機を飛ばし,といった現代社会の経済活動は大量のエネルギーを必要とします。エネルギー源はいろいろありますが,現状では石炭や原油のような有機物を燃やして得られる熱エネルギーが源である比率が高いため,燃焼の結果,大量の二酸化炭素が発生します。

二酸化炭素が大気中に増えることで心配されるのが,上で述べた,地球が受け入れる太陽光のエネルギーと,宇宙に放熱するエネルギーのバランスが崩れるということです。地球に到達した太陽光は,地球表面で反射されて,主に赤外線として宇宙空間に放出されることでエネルギー収支のバランスを保っています。ところが,二酸化炭素は赤外線を吸収して熱エネルギーに変える性質が強いため,大気中の二酸化炭素濃度が増えると,宇宙への放熱がうまくいかなくなり,地球が温暖化する,というのが提唱されているメカニズムです。

二酸化炭素の放出を減らすというのは口で言うほど簡単ではありません。また,減らすことで地球温暖化がどうなるのかということも明確にはわかっていません。クリーンな代替エネルギー開発も盛んにおこなわれていますが,化石燃料に代わる段階ではないですし,どの国も自分たちの経済活動にマイナスとなることに消極的になるのは,自然な摂理とも言えます。

ところが今,新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で,全世界の経済活動が大きく停滞しています。そしてどうやら,それによって二酸化炭素の放出量が大きく減少しているらしいのです。

新型コロナウイルスの影響で、温室効果ガスの排出量が世界的に激減している

https://wired.jp/2020/03/26/coronavirus-emissions/

もちろん,地球環境のことを考えて,人類が積極的に行った結果ではなく,ウイルスによって,やむなくもたらされた結果ですので,大変皮肉なことではありますが,このような事態が生じなければ,人類が決して行わなかったであろう,壮大な環境実験が行われているとみることもできます。

二酸化炭素が地球環境に与える影響は,まだまだ十分には解明されていません。転んでもただは起きぬの精神で,今こそ科学者は地球温暖化の理解を深める機会とすべきなのかもしれません。

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